【2030年が目途?日本周回遅れ】ガソリンから電動バイクへ、日本を含むアジア各国の状況

      2018/08/05

🔥New Honda PCX Electric bike

画像出典:ホンダ公式サイト

大気汚染や地球温暖化といった問題により世界的に電動化(EV化)が進んでいます。自動車では話題になっていますが、実は電動化の流れはバイクにも浸透しつつあることをご存知でしょうか。

性能面でガソリンバイクに劣ることやインフラが整っていないこともあって日本では騒がれていませんが、日本・中国・台湾・インドにおける電動化の状況をまとめてみました。

アジア各国の状況まとめ

国名 二輪新車販売台数に占める
電動バイクの販売率
中国 約80%
台湾 約10%
インド 1%以下
日本 1%以下

中国の注力度がすさまじく、バイク先進国であるはずの日本が周回遅れどころではない事態になっていることがわかります。各国の状況を詳しくみていきます。

 

電動バイクへの切り替え:中国

画像出典:ものづくりニュース。

まずは、電動バイクについて中国はどのような対応を取っているのかご紹介していきます。

 

電動バイク先進国は中国

世界で最も電動バイクが普及している国は中国です。

販売台数ですが、2017年には4,000万台を超えていて、2018年には6,500万台に達する見通しとなっています。主要都市である上海で90%以上、北京では100%近くが電動バイクといわれています。

ただし、充電インフラが普及していない農村部では、今でもガソリンバイクが主流のようです。

 

生産シェアでも中国が圧倒

2015年の統計では、中国の電動二輪車(電動自転車を含む)生産シェアは世界8割に達していました。

保有台数、販売台数ともに世界の8割強を占めているといわれています。輸出台数は198万4,000台で、売上高200万元(約3000万円)以上の中国国内のメーカーは250社ほどです。

中でも電動自転車は過剰生産に陥っているため、低価格(2万円ほど)での輸出が相次ぎ、欧州とは貿易摩擦を生んでいます。

 

充電インフラの普及

中国の都市部では、電動バイクの充電インフラも整っています。街の至るところに有料の充電設備があるほか、コンビニや小さな商店にも併設されています。

10分ほどの急速充電が1元(16円ほど)ほどで、専用の充電器を使えば家庭用のコンセントでも行えます。ちなみに中国の家庭用コンセントは200Vで、一晩でフル充電が可能です。(20~40kmほど走行可能)

 

中国では「電動バイク=電動自転車」!?

中国では、電動バイクは電動自転車と同じ扱いとなります。

つまり、運転免許を取得する必要はなく、地域によってはヘルメットの着用も義務付けられていません。電動バイクを所有することは自転車と同じぐらい手軽で、購入時は簡単な登録を行うだけで済み、税金や自賠責保険料も存在しません。

国の政策も相まって2010年頃から急速に電動バイクが普及、販売台数ではガソリンバイクを大きく上回っています。中国における電動バイクは、維持費の安さや手軽さという面では自転車の延長といえるかもしれません。

 

多くの都市でガソリンバイクの進入が規制されている

中国では、ほとんどの都市でガソリンバイクの進入を規制しています。

進入できるのは、許可を得たナンバープレートを付けた車両あるいは公安のバイクなどです。現在中国では、自動車やガソリンバイクの売れすぎに歯止めをかけています。大気汚染や渋滞が深刻化しているためで、政府は新ナンバープレートの発行に高額な取得料を課しています。(スクーターで約150万円)

 

中国における電動バイクの課題

中国国内の電動バイクに関する課題は以下のとおりです。

・電動自転車での事故が多い(北京では全体の3割)

・犯罪に悪用されることもある(エンジン音がないためひったくりしやすい)

・普及が進み飽和状態になりつつある

 

中国の主な電動バイクメーカー

雅廸(10.5%) ・愛瑪(8.75%) 

・緑源(4.95%)・新日(4.76%) ・台鈴(4.33%)

 

関連リンク

中国におけるバイク事情【2018年最新】

 

 

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電動バイクの切り替え:台湾

次は、台湾での対応をご紹介していきます。

 

台湾は世界有数の二輪普及率をほこる

台湾は、二輪普及率の高さでは世界有数です。

人口約2,300万人に対してバイクの保有台数は1,600万台に達しています。つまり、100人あたり70台バイクをもっている計算になります。日本は100人あたり9.5台なので、その差は歴然です。

 

電動バイクのシェアは年々急増している

台湾では、ここ数年で電動バイクの普及が加速しています。

販売台数は2015年から飛躍していて、2016年には約2倍の2万1000台、2017年はさらに2倍の4万台になる見通しです。

全体の年間販売台数は約43万台で、電動バイクのシェアは10%に達していることがわかります。

 

バイクから電動化を進める方針

台湾では、先行してバイクから電動化を進める方針です。

火力発電所や工場などが密集している台湾中部・南部を中心に大気汚染が深刻化していて、改善を求めるデモ行進も行われています。

そこで台湾では、2030年にはバスと公用車を前面電動化、2035年にはガソリンバイク、2040年にはガソリン・ディーゼル自動車の販売を禁じる方針を表明しています。

 

台湾の充電インフラは?

台湾の充電インフラは、かなり進んでいるといえます。

台湾内には、2018年時点で1,700ヶ所の充電・電池交換ステーションが設置されていて、コンビニなどのアクセスの良い場所にも展開されています。設備はATMほどの大きさで、電池交換ステーションではバッテリーを交換するだけです。充電するよりも早く、所要時間はわずか30秒ほどです。

 

Gogoroの充電ステーション

この充電ステーションを、5年以内に3,310ヶ所まで設置することを目標にしています。そのうち1,000ヶ所は国営企業「台湾中油株式会社」直営のガソリンスタンドに設置、費用は政府が全額補助する方針です。

 

台湾の主な電動バイクメーカー

・Gogoro

Gogoro社は住友商事と提携し、電動バイクのシェアリングサービス「GO SHARE」を2018年2月より沖縄県石垣市で開始しています。

 

 

 

電動バイクの切り替え:インド

次に、インドでの対応をご紹介していきます。

 

CO2排出量は世界でもワースト3位

インドの二酸化炭素排出量は、中国、アメリカに次ぐ多さです。

経済成長著しいインドはGDP(国内総生産)ベースで世界7位の経済規模で、都市部では深刻な大気汚染が問題となっています。

アメリカの健康影響研究所のデータでは、2015年時点でPM2.5がWHO基準値の7.4倍もあるという報告がありました。大気汚染が原因の死者は年間109万人を超えています。

 

現時点では市場規模は小さい

インドの電動バイクですが、現時点では市場規模は小さいといえます。

2016年度の販売台数は2万3,000台で、2017年度には倍増するものと思われます。二輪車販売台数1,700万台といわれるインドでは、かなり少ない数字であることがわかります。

 

2030年にはガソリン・ディーゼル車の販売を禁止する方針

今では規模の小さい電動バイクの市場規模ですが、今後は活性化するものと思われます。

現在は学校が休校になるほど大気汚染が深刻化していて、政府は2030年にはガソリン車・ディーゼル車の販売を行わない方針だからです。二輪にも規制が及ぶことは当然といえるでしょう。

 

多くのメーカーがインド市場に投入を検討

多くのメーカーが、インドに電動バイク投入を検討しています。

ホンダは「CBシャインSP 2018」などの小型モーターバイク3車種を発表しているほか、地場二輪メーカー大手のヒーロー・モトコープも電動バイクの開発に着手、TVSモーターも2019年3月までに電動スクーターの販売を予定しています。

 

インドの主な電動バイクメーカー

●オキナワ・オートテック ●アザー・エナジー

●EMFLUX MOTORS

 

関連リンク

インドにおけるバイク事情【2018年最新】

 

 

電動バイクの切り替え:日本

最後に、日本での対応をご紹介していきます。

 

日本の課題は充電インフラの拡大

あまり電動バイクが普及していない日本での課題は、充電インフラの拡大です。

電気自動車と比べて電動バイクでの行動範囲は狭いものの、バッテリー容量が小さいので航続距離は限定的になってしまいます。充電できる箇所は限られていて、一軒家に住んでいない人は自宅で充電が難しいほか、郊外に住んでいるとガソリンスタンドが少ないこともあります。

 

航続距離の長いモデルも少ない

航続距離が短いという点も、日本であまり普及していない原因のひとつといえるでしょう。

テラモーターズのBIZUMOという車種のように、150km走れるバイクもありますがこちらは業務用なので、一般向けのこういった車種の開発も課題といえるかもしれません。

 

 

ホンダとヤマハ、ライバル同士がメーカーの枠を超えて提携

かつてHY戦争といわれライバル関係にあった両者ですが、スクーター事業では業務提携することを検討している模様です。

2017年9月からは、さいたま市で電動バイクの普及拡大や交通空白地域の解消に向けた実証実験を、二社合同で行っています。2018年5月には、ホンダからのOEM供給を受けたヤマハ・ジョグ・ビーノが発売されました。

この提携は「日本市場における原付一種クラスを中心とした電動二輪車の普及」が目的なので、主体は電動バイクの普及であるといえるでしょう。

 

ホンダと日本郵便が提携

昔から提携関係にあったホンダと日本郵便ですが、電動バイクによる郵便配達の整備に向けて協力関係を構築するとの方針を発表しました。

全国約9万台といわれる郵便配達用の二輪車を順次電動バイクに置き換えていくほか、ホンダのテレマティクスサービス(インターネットに接続することで受けられるサービス)を用いた配達業務の効率化を実証実験なども行われます。

簡易郵便局をあわせると全国約2万4,000局といわれる郵便局の大部分を、充電ステーションとして活用することも検討されています。

 

日本の主な電動バイクメーカー

・ホンダ ・ヤマハ ・テラモーターズ

 

 

最後に

今回は、ガソリンバイクから電動バイクへの切り替えが進んでいる国、日本における電動化の状況などをご紹介してきました。

日本ではまだ普及していない電動バイクですが、近い将来には当たり前のように道路を走る日が来るでしょう。BMWからは初の電動スクーターも発売されていますし、国内メーカーも負けじと新型モデルを投入していくことになるかもしれませんね。


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