フランスにおけるバイク事情【2018年最新】
2018/08/05
「フランス」といわれて、何が思い浮かびますか?
エッフェル塔、ルーブル美術館といった観光地、フランスパンやマカロンなどが広く知られているのではないかと思います。しかし、どんなバイクに乗っているのかと聞かれても、「わからない」と答える人の方が多いのではないでしょうか。
そこで今回は、フランスにおけるバイク事情をご紹介していきます。
フランスのバイク統計データ(保有台数など)
面積(2016年統計) | 551,500㎢ |
人口(2016年統計) | 62,814,233人 |
バイク保有台数(2014年統計) ※一般社団法人「日本自動車工業会」より |
約301万台 |
バイク普及率 | 5% |
年間新車販売台数(2014年統計) ※MARK LINES調べ |
約25.1万台 |
二輪年間生産台数(2012年統計) ※MARK LINES調べ |
約5.7万台 |
面積や人口
ヨーロッパ諸国の中で最大の国土面積を誇っていて、人口ではドイツ、イギリスに次ぐ第3位となっています。首都は北部にあるパリで、人口は約250万人(都市圏では約1,230万人)ロンドン、ニューヨーク、東京と並ぶ世界トップクラスの都市です。北はイギリス海峡、西は北海、南は地中海に面していて、約5,500kmの海岸線に囲まれていることが特徴です。
バイク保有台数
ヨーロッパ諸国の中ではイタリア(850万台)、ドイツ(588万台)、スペイン(503万台)に次いで4番目に多い台数となっています。(参考:日本は1,121万台)
販売&生産台数
販売台数:ヨーロッパ全体としては134万台(EU連合では128万台)の規模があり、フランス単体の順位はイタリア(18.4万台)や、同二位のドイツ(17.0万台)をおさえて一位となっています。日本は59.7万台で、人口比(日本の約半分)で考えてもほぼ同じということになります。
生産台数:ヨーロッパ全体では63.2万台を生産していて、最大の生産国であるイタリア(33万台)、二位のドイツ(10.1万台)、三位のオーストリア(7.6万台)に次ぐ四位となっています。日本は59.7万台なので、人口比で考えても日本の方が生産台数は圧倒的に多いことがわかります。
フランスの人気車はこれ!
ランク | 車種名 | 年間販売台数 |
1 | ヤマハ・XMAX125 | - |
2 | プジョー・KISBEE | - |
3 | ピアッジオ・MP3 500LT | - |
※2013年統計:欧州モーターバイク協会調べ
ヤマハ・XMAX
画像出典:ヤマハEU公式サイト
ヨーロッパ全体ではBMW・R1200GSが販売台数の大半を占めていますが、ドイツでの売れ行きが顕著でほかの国での売り上げが好調なわけではないようです。
プジョー・KISBEEでいくナイトツーリング
凱旋門やエッフェル塔が、きれいではないですが登場します!
ホンダもPCX125の販売に注力しています。
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フランスのバイクや道路の特徴7つ
では、フランスのバイクや道路の事情についてご紹介していきたいと思います。
フランスの特徴①:欧州全体の状況とは異なり50ccクラスが人気
フランスでは、50ccクラスの原付の販売台数が多いという特徴があります。
TOP10のうち7車種は50ccの原付で、ピアッジオ・MP3 500LTやヤマハ・TMAX XP500、ヤマハ・XMAX以外は全て50ccです。
元々フランスでは、51cc以上のバイクの販売台数が日本より多かったのですが、2012年を境に逆転しています。
ガソリン代や税金といった維持費が安いことに加えて、取り回しの良さや後述する免許の関係により、50ccバイクの需要が高まっているものと考えられます。
フランスの特徴②:石畳の道路が多いので3輪も人気がある
石畳の道路が多いフランスでは、3輪バイクの人気も高まっています。
石畳の道路は雨が降ると滑りやすくなってしまいますし、市内にはトラム(路面電車)が走行しているため二輪車では走行が安定しないという欠点があります。また、市街地は自動車の運転が不便ということもあり、バイクで走行が安定しているピアッジオ・MP3 500LTのような車種の人気が高まっています。
実際にパリ市街では、3輪バイクをみかける頻度が高いといわれています。
多様なバイクが走行している
フランスでは、3輪に限らず多様なバイクが走行しています。
屋根のついたバイク、ラジオ・携帯のついた車種なども多く、付加価値の高い製品が普及しています。
フランスの特徴③:50cc原付でも座席があればタンデム可能
フランスは、50cc原付でも座席が2人乗りに対応していればタンデムも可能です。日本での二人乗りは51ccからで、二輪免許取得後1年経過しなければなりません。
フランスの小学校では両親の送り迎えが必須ですが、父親が子どもを乗せて学校まで送っていくような光景が日常的です。50cc原付でも二人乗りができるため、日本より使い勝手が良いといえます。
フランスの特徴④:51cc超えから高速道路走行が可能
フランスでは、51cc超えから高速道路の走行が可能です。
日本では、2005年より126cc以上の二輪車であれば高速道路を走行することができるようになりました。しかし、125cc以下の原付では高速道路や自動車専用道路(環状線のような)を走行することができません。
フランスでは51cc超えであれば、パリの環状線や郊外の高速道路を走行することが可能です。(ただし、郊外の制限速度は110または130km/hのため低排気量での走行は危険)
フランスの特徴⑤:原付には14歳から乗ることができる
フランスでは、50cc以下の原付免許は14歳から乗ることができます。
日本において普通二輪以下であれば全て取得できるものの、16歳にならないと原付には乗れません。しかし、フランスでは2年ほど早く乗ることができます。また、1987年12月31日生まれ以前の人は原付免許自体が必要ではないうえ、普通自動車免許を取得していれば125ccまでのバイクに乗ることができます。
若年層では軽量原付四輪が大ヒット
中学生の間において、フランスではマイカーを所有する時代に突入しています。
軽量原付四輪とは、自動車税も車検もない自動車のことです。見かけこそ自動車ですが全長や車幅が短く、自動車と自動車の隙間にバック駐車することも可能です。中学生、高齢者、軽度障がい者など、スピードを出して急ぐ必要のない人達から高い需要があります。
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フランスの特徴⑥:自動車での運転が面倒
パリを中心とするフランスの市街地は、自動車の乗り入れが面倒です。
日本でも都内の運転は不便といわれていますが、フランスにおいてはそれをも上回っているといえます。例えば、市街地の道路が狭いだけではなく自動車の駐車場は少なく、「エコパス」という市街地道路利用料を支払わなければなりません。停める場所を探すだけでも苦労するうえ、多額の費用が必要になります。
市街地において自動車は面倒なので、原付が普及しはじめています。
フランスの特徴⑦:駐輪スペースは無料
日本と違い、フランスでは駐輪スペースは無料です。
近年になって整備が進められている日本であっても、まだ駐輪スペースが多いとはいえません。また、場所によって駐車料金も高額で、気軽に停めることが難しい場合もあります。しかし、フランスはパリなどの市街地であっても駐車料金は基本的に無料で、一つの大通りに4、5か所の駐輪スペースが確保されています。
維持費や免許だけではなく、駐輪スペースの多さや駐車料金の安さも原付が普及する要因となっています。
最後に
今回は、フランスという国の基本情報をはじめ、道路事情やどんなバイクが好まれているのかといった特徴をご紹介してきました。
世界的に見てフランス一国だけでは規模が小さいことから、マーケティングにおいてはヨーロッパ全体で語られる傾向にあります。しかし、実はヨーロッパといっても各国には事情があり、それぞれ異なった文化やマーケットをもっています。ヨーロッパ全体では、元々バイク文化が根付いていた地域だけに手堅いという特徴がありますが、フランスは日本のバイクが普及している国のひとつでもあります。
世界のバイク事情
国名 | 人口 | バイク普及率 | バイク所有台数 (百万台) |
バイク販売台数 (百万台) |
中国(電動+ガソリン) | 13.9億 | 20% | 282.4 | 48.0 |
インド | 13.1億 | 12% | 155.0 | 20.2 |
アメリカ | 3.3億 | 3% | 8.7 | 0.5 |
インドネシア | 2.6億 | 29% | 76.4 | 5.6 |
ブラジル | 2.1億 | 6% | 13.1 | 1.4 |
パキスタン | 2.1億 | 5% | 10.8 | 1.6 |
ナイジェリア | 1.9億 | - | - | 1.4 |
ロシア | 1.5億 | 1% | 2.0 | 0.1 |
メキシコ | 1.3億 | 2% | 3.0 | 0.7 |
日本 | 1.3億 | 9% | 11.2 | 0.4 |
フィリピン | 1億 | 5% | 5.3 | 1.3 |
ドイツ | 0.8億 | 7% | 6.1 | 0.1 |
タイ | 0.7億 | 30% | 20.5 | 1.8 |
フランス | 0.6億 | 5% | 3.0 | 0.3 |
イタリア | 0.6億 | 14% | 8.5 | 0.2 |
スペイン | 0.5億 | 11% | 5.0 | 0.2 |
台湾 | 0.2億 | 58% | 13.7 | 0.9 |
中国のガソリンバイク・電動バイク内訳
中国(ガソリン) | 13.9億 | 6% | 82.4 | 8.0 |
中国(電動) | 13.9億 | 14% | 200.0 | 40.0 |